三島由紀夫対全共闘の映画を観てきた。
内容はつまらない。観念的・抽象的な物事の言い合いで、大学生のふざけた奴の印象が一度鼻につくと、もう頭に入ってこない。サルトルとか名前が出てきて、そのへんについて三島が話している「実存」の部分だけ、少しわかった。しかしこの内容はごくごく薄い。
結局印象的だったのは、それまで白黒でしか見たことがなかった三島由紀夫を、カラー映像ではじめて見ることができた、というものだ。宣伝で見てそこがいいと思い見にいったので内容には期待していなかったが、まあ、カラーで見られたのはやっぱりよかった。私は白黒映像を見ていると、この古い時代には<現実>に他に色がなかったんじゃないかといつも思う。しかし「ペーパームーン」にも「七人の侍」の時代にも、もちろん色はあったのだろう。
三島由紀夫の出ている内容でいえば、ここまで言って一応断っておくと私は三島由紀夫は好きではないのだが、川端康成との対談がいい。ノーベル賞受賞後のやつだ。これはYouTubeのアーカイブに上がっているので見てみてほしい。ネットでも書かれているが、三島は絶対に自分が上と認めて川端を先生と呼ばなかったらしい。川端さん、川端さん、と言うのがなにか面白い。
そしてこの映像で一番いいのは、マイクがでかいところだ。このマイクのごんぶとでかさはなんだと思う。馬のち**二本分みたいじゃないか。こんなもん入らない。しかしでかい。ちなみにこの対談の中で後ろでキャッキャと子どもがはしゃぐ声がするが、これは保坂和志はたぶん俺だと言っている。