ビフォア・コロナ。アカデミー賞を取ってから「パラサイト」を見た。半地下の家族。寄生、これもタイトル的にコロナの影響を受けそうだ。

半地下というのがまずあまりイメージにない、韓国には結構普通にある? 宇多丸のラジオでは作中の「半地下の臭い」というのも監督に言わせれば、韓国人は大体覚えがあるもののようだ。

最初に便所こおろぎが出てくる、これが半地下の家族のアイロニーみたいな感じで全編に行き渡る、そんなこともないか。しかし虫というのは慣れない、映画でぎりぎりいける程度だ、私はいまトイレでファーブル昆虫記を読み直してるのだが。

「パラサイト」を見て思ったのが、これは半地下の家族の視線に立って絶対的に観客は見るということだ。そこに釣り合いをとろうみたいなフェアネスはない、視線は固定されてる。
「パラサイト」をパラサイトされる側から見て、便所こおろぎみたいにあいつらを感じながら富裕層の立場で気持ち悪く見た、「こんなの実際にされたらたまらんやろな」と迷惑に思いながら見た人はいるだろうか。

これがたぶんいる…そういうのが一番困る。人はいろいろなのだ。

しかしあの階段から落ちてくるところのドリフ感はどうだろう。もうちょいなんとかならなかったか。Wikipediaには「ブラックユーモアコメディ」と作品のジャンルが説明されてる。しかし、それにしても、だ、そんなの弁解になるか。

フリッカーより(著作権フリー画像です)。

あの、夜。
パラサイトする側からして見てて、あまりに無防備に宴をやらかす半地下の家族を見ていて「ここ一発引き締めなあかんところやろ!」と思うのを禁じ得なかった。
やっぱりそこもそうだ、パラサイトする側から見てる…。

俳優陣では半地下の娘さん役がよかった。足立梨花みたいな。あれは町で見るとおっ?と思うだろう。甘さがない媚びない顔立ち。あと父親のジョークのセンス! 映画館のやつらもっと声出してウケろよ! なんかあんまり関係ないとこで一瞬劇場がハッハ…となったが、どこだったっけ。

カテゴリー: 文化