大江健三郎の初期小説集のタイトルで、私はこの中の「鳩」という中短編が大江の中でも特に好きだ。

しかし今日は「ふらいんぐうぃっち」の話で、これは石塚千尋という作者が描く〈青森の日常×魔女〉という漫画。現在7巻、続刊中。刊行ペースは年一とか。本当にいつまで続いてくれるんだろう。

なぜそれが「見るまえに跳べ」なのかというと、私が大して情報収集もせずに、なんとなく書店で見つけて気になって買ったから。見るまえに跳んだのだ。こういうのは意外とネットレビューやなんかのこの時代で難しいんじゃないか。

「わ」

ふらいんぐうぃっちの主人公、真琴は居候先の青森の倉本家にやってきて、必要なものの買い出しに入ったお店の前でおもむろに売り物のほうきをためつすがめつして、本作のこれも実質的主人公といえる倉本千夏の前で突然飛ぶ。

「わ」

とは、それを見て驚いた千夏の声だ。この絵のページまたぎの溜め感がすごくいい。これで「よつばと」を思い浮かべない人もいないだろうが、二番煎じでもなんでもいい。それはそれ、これはこれ。

私のこういう趣向はアニメ版「けいおん」に若干苛立ちながら何か感慨を得て「よつばと」で引き込まれ「あずまんが大王」を後から見て、「ふらいんぐうぃっち」ではまった。「あずまんが大王」を見ればわかるが、日常系漫画は四コマのペースが基本となっている。これがやっぱり幼児体験で体に入っているから面白いんだ。とんとんとんとん、とんとんとんとん、とんとんとんとん、と進む。

以前友人に話しているときに迂闊にも俺はふらいんぐうぃっち「ガチ勢」という言葉を使った。こういう最近の言葉は個人的に好まないので言い直したい。私は「ふらいんぐうぃっち」の大ファンだ。

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